世界キムチ研究所で韓国キムチを学ぶ
韓国キムチ文化体験の旅も終盤。最後のミッションは、世界キムチ研究所にてキムチを学ぶこと。
世界キムチ研究所・・? それは、世界キムチフェスティバルの会場でもある「光州キムチタウン」に、国の支援で2010年に開設された研究所。そう。韓国は官民挙げて、韓国料理のグローバル化を推進しているのです。
韓国政府が「韓国料理、世界5大料理化」元年を声高らかに宣言したのは2008年。その大きな国家プロジェクトの流れの中で、キムチの故郷・光州に、韓国キムチの粋、知見と技術、伝統と革新を集結させ、さらに高みを目指している、韓国が誇るキムチの最先端施設なのです。・・なんか、すごい気がしてきた。
World Institute of Kimchi。 略称は「WiKim」。
我々、キムチ文化体験ツアー一行は、会議室に通され講義を受けます。
テキストを渡され、PCの前に。あれ? いつの間にか私たち、韓国キムチ文化「広報団」になってるよ? ま。いっか。
講義は韓国語で進められ、質疑応答も交えながら、キムチの科学、キムチの文化を学びます。皆さん熱心にメモを取っていらっしゃいます。私も、ちょっとしたことを1点質問したのですが、「担当部署が違うのでわかりません」ということで、ばっさり縦割り。さすがキムチ研究所。白菜も縦割りにしますしね、キムチって。
しかし、キムチ研究にまい進している様子はよく伝わってきました。100人の職員が日々研究を重ね、キムチの機能を解明し、キムチ由来の乳酸菌を同定し、品質試験法を開発したり、はたまた、消費拡大に向けた商品開発をしたり、キムチに関するあらゆることが日夜繰り広げられているようです。韓国キムチエリート集団。すごそう。
講義の後は、施設内を案内してもらいました。
・・・・。誰もいない。撮影用に人がよけてくれたのではなくて、案内員の女性を除いて、人っ子一人いないのです。今日は月曜日。韓国の祝日でもないのに。10時すぎてるのに。なんで?
研究所棟を出ると、そこはキムチフェスティバル会場でもありました。・・よもや、職員総出で、フェスティバルの警備でもやっているのでは・・・? 我々、韓国キムチ文化「広報団」に会わずして、何を伝えてほしいのか?
分析機器も揃っていて、キムチに関する書籍も世界随一、施設も素晴らしい。
アトピーに効果がある乳酸菌や、抗肥満作用のある乳酸菌の同定など、機能性食品としてのキムチの根拠が解明され、健康に関心を持つ層にアピールしたり。家庭で漬けるより市販のキムチを買う若い人たちに向けて、DIYキムチ(キムジャンセット)を開発したり。キムチ研究所の熱い思いが伝わってきました。
で、研究所の職員が何をしていたのか? ですが。後日談として。
私たちが研究所を訪れたそのとき、新しい所長が着任した、とのことで、職員一同がん首揃えて新所長様をお迎えする大事な会議に出席していた、そうです。私たちに講義をしてくれた案内の女性も、あわや会議に、というところ、その女性だけは会議出席を阻止した、という経緯らしい。ま、どこの国でも、ありがちなこと、かもしれません。
ちょっと人間味が感じられるエピソードで、「キムチエリート」「キムチの科学」という固い印象が少し和らぎました。キムチを漬ける人も、キムチを食べる人も、キムチを科学する人も、みんな同じ人間だもの。無人の研究室だってあるさ。(みつを)
今回いろいろなお話を聞いてみて、韓国国産材料の品質管理、生きた乳酸菌の研究、国家挙げてのキムチ文化推進など、これだけの英知と予算と思いがこめられた韓国キムチが、国家の威信をかけて推し進めている韓国キムチ文化が、もっともっと世界に広がっていくと良いなあ、と思いました。
なんか、すごいんだもの、韓国キムチって。研究所では「韓国キムチ広報団」の一員として勉強しましたが、今は「韓国キムチ応援団」として、光州で学んだキムチ文化を、1人でも多くの人にお話ししたいと思っています。
何はともあれ、滋味あふれる美味しいキムチ。ますます好きになりました。
行きつけのスーパーにて韓国産キムチ。キムチ君マークが目印です。